おそらく多くの人にとって欠けているのは自己表現を存分にできる機会だろう。自分が表現したいことを自由にできるという機会は少ない。機会が与えられても勇気が出ずに実行できなかったり、他人の評価が気になりすぎたりする。
自分の思うことや感じたことを表現する機会は大切だ。もっとも簡単なのは友人とのおしゃべりだろう。ところがそれができる存在が少なくなっている。なんでも聞き、適度にうなずき、適度にリアクションし、適度に聞き流す、そんな存在がいる。ソーシャルメディアの「ともだち」はこれができない。過剰に同調するか逆に反論を展開するか、場合によっては冷たい罵詈雑言を並べ立てる。もしくはなしのつぶてで存在を無視されるのだ。
色々な意味で自分の話を聞いてくれる人がいなければ自己表現はできず、その手の満足感も得られない。だから、心的な不満は高まるのだろう。それが社会の中でいい影響をもたらしているのではないか。
この手の問題はかつて地域の町内会などで解消されてきた。それが機能しないいま、どうすればいいのか分からなくなっている。参加型行事を気楽に行える環境を作るべきだ。