いいお知らせと悪いお知らせ

 読書感想文の宿題が出てうんざりしている皆さんにいいお知らせがある。みんなの苦労をもしかしたら数分で肩代わりしてくれる便利なものがある。ChatGPTというサービスを使おう。例えば「私は中学2年です。『坊っちゃん』の読書感想文を800字くらいで書いて」と入力すればすぐさま、それらしい文章が画面に現れる。それを写せばいい。文章自体は自然なので先生も気づかないかもしれない。

 悪いお知らせもある。こうやって作った文章は内容が間違っていることがある。いもしない人物が出てきたり、ストーリーが違ったりするかもしれない。君の先生がきちんと文章を点検するまじめな先生ならば、そして先生も小説を読んだことがあるならば、その矛盾に気づき、君の悪だくみを見破ることになる。きっとものすごく怒られることになる。

 もっと悪いお知らせもある。宿題を出せたとしてもあなた自身の文章力は一向に上がらない。文章が書けない人は読解も苦手だろう。結果としてあなたは文章が苦手な人になり、文章が上手な人たちに将来丸めこまれることになるだろう。色々な不利な条件を巧みに突きつけられるがあなたはそれに気づかない。そんなことは許さないと叫んでも遅い。彼らは言うだろう。説明はしましたよ。文書でもお渡ししました。あなたのサインもあります。お読みいただきましたか。あなたは心のなかでこういうことになる。読んでもさっぱり分からなかったんだと。

 便利なものができると失うものもある。車ができて人々は歩く力を失った。交通事故で命さえ奪われている。作文を書く機械はあなたから大切な未来を奪うかもしれない。

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