口舌の徒

 不透明な時代になったせいか、様々な言説が飛び交い、真偽の程も定かにならない。おまけにソーシャルメディアなどで気楽に言いたいことが言える状況にあっては珍奇な意見も少なくない。中には明らかに収益目的で動いている輩もある。その中でいかに正気を保てるだろうか。

 いわゆる口舌の徒はかつてなら相手にされなかったはずだ。ところが、気の利いたことさえ言えば認められ、中にはそれに従ってしまう人が出るのが現実だ。発言者も一時的な注目を集めることだけしか考えていないので責任感がほぼない。問い質すときっとこう答えるだろう。誰が私の発言が真実だなんて言いましたか。その時考えていたことにすぎませんよ、などと。

 無責任さはすぐに色々な人に伝染する。言ってみただけという言い訳は簡単に成り立つからだ。口に出したことは実現するか、せめてそうしたいと心底考えることが必要だ。自分はやりたくないのに、他者に強要したり、自分はやっているのに他人の行動に厳しかったりするのは尊敬できる態度ではない。

 ならば、聞き手の側の態度をいかにすべきなのか。まずはメディアリテラシーをしっかりとさせることだ。また二三の説で判断しないのも大事だ。目についた分かりやすい考えだけでそれが通説と誤らないことだと思う。

 複雑であればあるほどその判断も難しい。ただ間違っても自ら考えたということが大切なのだ。この過程を忘れると私たちは何者かに支配されてしまうはずだ。

 

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