林間都市

中央林間と聞けばこのはずだけれど

 東急田園都市線の終点、小田急江ノ島線の停車駅に中央林間がある。いまは住宅と商業施設が並ぶこのあたりによくある町だ。なぜ林間なのだろう。しかも中央の。

 ネットで検索するだけでもある程度の謎は解ける。戦前の小田急が線路敷設と宅地開発をセットにして行った都市開発計画であったのだ。阪急や東急の成功例をビジネスモデルとしたものだった。

 緩やかな丘陵に雑木林が並ぶ地域を開発し、現在の南林間駅あたりを拠点として入居者を募った。鉄道運賃の無償化などを折り込み、林間都市をなのってイメージアップしたのだという。当初の駅名は南林間都市駅だったという。ところが、当時としては都心部から遠すぎたことや、戦争の影響で計画は破綻し、駅名から都市が取れてしまったという。結果として林間という不思議な地名だけが残った。

 その後西進してきた東急が中央林間を終点にしたことで新たな局面を迎えた。中央林間から渋谷まで、さらには東京メトロ半蔵門線に始発駅として利用できる利点が生まれたのである。新宿にも一本で出られる。一度は頓挫した都市化がなされる。東急の田園都市計画の末端として。

最近できた新しい出口

 駅名が中央林間都市駅に戻ることはないだろうが、皮肉にもそう名乗っていたときより遥かに都市化しているのが現況だ。人口減少が進んだ未来にこの付近は都市でいられるのか。あるいはもとの林間に戻るのか。答えは誰にもわからない。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください