
KDDIの通信障害の回復にはかなり時間がかかっているようだ。我が家のau端末はいったんアンテナ4本を取り戻したのに、いまは「圏外」になっている。自宅のWi-Fiが頼りだ。おそらく技術者の皆さんはいま難題に立ち向かっているのだろう。障害発生には責任追及が必要だが、その前に回復のために尽力している皆さんに敬意を表しておく。
さて、この障害から分かったことがいくつかある。まずこれが一社のサービス不調にとどまらないということだ。気象通信システムや電子決済、チケットなどのサービスが使えなくなったという。インターネットが前提となっているサービスが軒並み影響を受けたというのだ。この騒動で知ったことだが、コネクテッドカーなる自動車のICTサービスというものもあるらしい。トヨタ自動車はKDDIとの親和性が強いらしく(出資しているらしい)、トヨタの最新設備も影響を受けているようだ。IoTの時代ではもう電話ができないというだけでは済まないのである。
何かを仮に消してみたら生活がどう変わるかという思考実験のようなものは私たちが時々試みることだ。今回のように本当にそういうことが起きたら、見えなかったものがいきなり表面化する。ついでに想像をたくましくして考えてみよう。渋谷に行くときに東横線が止まったらJRにするとか、地下鉄を使うとかはよくあることだ。通信会社はどうだろう。A社がだめなら、一時的にB社が肩代わりするといったことは通信の世界ではできないのだろうか。東横線から振り替え輸送してきた客でいっぱいになった東海道線がさらに遅くなる、最悪の場合止まってしまうということもあり得る。ならば初めから振り替えなどしない方がいいのか。9時までに渋谷につかないと大切な契約ができず、財産を失うというひとの場合はどうなのか。そういうたとえをいちいち考えておく必要を感じたのである。
家族割のようなものを使って家族をおなじキャリアのユーザーにしてしまうのは業者にとっても、利用者にとっても価値があるものと思っていた。しかし、今回のようなことはこれで最後ではあるまい。どこかが止まったら別に切り替えるという選択肢を持っている方がいいのかもしれない。あるいは何もせずに駅のベンチで待って紙の本を読んで賢くなる方が実は一番懸命なのかもしれないが。