ジェンダーレス水着なるものが発表された。性別に関係なく着られるデザインであり、肌の露出度は少ない。生物学上の性と心のそれが一致していない人にとっては朗報だろう。
こどもの頃からなぜ水泳となると男女の格好が大きく異なるのか不思議だった。私の場合性的不一致はないので違和感は習慣に吸収されてしまった。多くの人は同じだろう。てもよく考えてみればなぜ男子は上半身裸なのだろうか。それが改めて疑問になることがある。

おそらく多くの日本人は逆の考え方をする。女子には乳房を隠さなくてはならないという決まりがあるから上半身にも水着をつけるのだ。男子にはそれがないからつけないと。さらにはデリケートな部分を保護するために身につけるのだと。
それらはすべて正しいように思える。第一トップレスの女性がいたらとんでもないことになると考えてしまう。でもよく考えてみると男の上半身もそれほど頑丈とは思えない。また、女性が上半身裸の民族も世界には多数あるようだ。日本でも近代以前は普通に混浴がなされていたという。わずかに残る海女の記録でも上半身の着用はない。
性別によって何をどのように身につけるのかは文化的な問題なのだということになる。日本は近代化によって欧州文化を取り入れ、性差の文化も取り入れたために水着の価値観もそれに倣うことになったのだ。
新たに性的マイノリティーの存在が世間に認知され、人権に配慮すべきであるという考えが定着すると、別の文化が生まれる可能性がある。ジェンダーレス水着の試作品の写真を見てつくづくそう思う。結局何を身につけるか、身につけてはならないのかは文化的問題である。生物学上の問題を人間が変えることは難しいが、文化ならば少しは工夫できる。

