日本型雇用体系

 これまでもよく述べられて来たことだが、生産性の確保や向上のために人事面にも流動性を高めるべきだという議論がある。終身雇用を前提とする制度が諸悪の根源のような言い回しだ。人事の硬直が仕事の保守的傾向を強調しがちであることは容易に推測できる。

 ただ、ならば能力主義なり、業績主義だけでよいかというとそうでもないのではないか。経験が蓄積されることも必要であり、職能を磨き上げてきたことが日本企業の強みになっていた。それがいま効率主義によって揺らぎつつある。「働かないおじさん(おばさん)」の話はよくでる。解雇が難しい日本の雇用形態では仕事と個人の能力がミスマッチする可能性が高く、その結果として働いていないように見える社員を一定数生み出してしまう。でも、それは経験をもつ社員をうまくいかせていない現実の裏返しでもある。経験に応じてふさわしい仕事にシフトしていける日本の雇用体系を活かしきっていないのだ。

 私は終身雇用体系の利点をいかしつつも、新しい雇用形態を目指すべきだと考える。イノベーションには新しい考えが必要だと言うが、私は多様性の方が大切だと信じている。優秀な若手はもちろん欠かせない。しかし、経験豊富な人材もいなければ本当の新機軸は得られないのではないか。

 社会情勢が不安定になると極端に走ることは歴史が教えてくれる。能力主義がいいと考え、たまたま成功例が出ると、それに一気に追随する事態になるかもしれない。だが、日本型企業を他国に勝るものにするならば、テクノロジーと伝統・習慣が適度に調和したシステムへと成長させる必要があると感じるのである。

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