鉢を割る

 駅に向かう途中の道端に置かれている素焼きの鉢が割れていた。さては誰かのいたずらか。それとも自転車か何かが衝突したのかと思った。だが、どうも違うらしい。

 割れた破片は外部からの圧力ではなく内側からのエネルギーのベクトルを表していた。鉢は自ら割れたのである。皮を剥いたときのように広がったかけらがそれを示していた。よく見ると、底面にもたくさんの根がはみ出している。どうやらこの根が鉢の側面に圧力をかけた結果なのだと納得した。

 植物の力は実は強大だ。整備しないままの舗装道路が、雑草の繁茂によって亀裂ができている風景は田舎に行くと当たり前にある。田舎の話ではない。都心でも手入れを怠ればたちまち植物に侵食されるという、

 生き物の力を実感する風景であった。

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