通勤電車の乗車時間は大体決めている。日によって前後することはあるが、平均的にはある時間発の車両に乗っている。私のような方は多いのではないだろうか。
同類の方の中には顔を覚えてしまった人もいる。この方とはいつも駅前であう。この方とはもう少し自宅よりの角で行き交う。というふうに場所と関連づけて覚えてしまった。その方の名前や仕事は知らない。ただ、ほぼ毎日お会いするという点においてはすでに赤の他人とは別次元の存在になっている。
私が遅刻気味のときはより自宅近くでお会いすることになる。私にとっては足を早めよという指標である。逆に私が定時に家を出たときは、お会いする方々の出会いの位置によってその方になにかあったのではと微かに考えることもある。そういえば今朝はお目にかからなかったと思い出すときは心配することもある。わずかな時間だが。
相手が私のことを認識しているとは思えない。恐らく私のように考える人は少ないだろう。山道を行き交う登山者のようにせめて挨拶でもできたら世の中は随分変わると思う。
儚い夢物語である。
