ハナミズキの実

 街路樹のハナミズキに赤い実がなっている。知らないうちに大きくなったようである。一度気づいてしまうとどの木にも見えるようになる。ものの認識とはこのようなものだ。

 季節の移ろいは色々なきっかけで気づく。人工的な風景の中にも季節は見えてくる。それに気づくのにはそういうことへの関心がいるのだろう。天気さえもスマホの画面で確認しようとする私の生活からは季節を感じ取る力さえ衰えつつあると言わざるを得ない。

 ハナミズキは紅葉し落葉する。その色もなかなか鮮やかなものだ。いつもその鮮やかな赤を何とか保存したいと思うのだが、写真に撮る以外に方法がない。仮に何かで標本化しても、それはすでに別のものになっている。それぞれの季節の印象を心に焼き付けておくことが季節を知る始めとなる。

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