国際問題に関して今の日本人は切羽詰まっている気がする。日本は東洋の辺境地帯で資源のない島国であるという現実をどこかに忘れてしまったのではないか。この国が繁栄するための最低限条件は他国、他地域との共生だ。それが近年の経済的成長でわからなくなってしまっているとしか言いようがない。
日本が先進国に序せられるのは偶然の積み重ねに過ぎない。私達の先祖もそれを望んでいたわけではない。むしろ毎日を平穏に過ごすことだけを願っていたに過ぎないのであり、他国より有利に過ごそうなどという野望は持っていなかったはずだ。それが明治維新を経過し、戦争の勝利と敗北、経済的な成長ですっかり分からなくなっている。私達がはじめから優秀な国民であるかのようなプロパガンダをすんなりと受け入れてしまう思考停止が今の日本人の現状だ。
私は国としての誇りを捨てることは好まない。しかし、誇りある国は他の国にも誇りがあることはわかるはずなのだ。それがどうも隣国を見下したり、無条件に自国が優れていると考えることが蔓延しているようで仕方がない。私はその意味で愛国心を育てることには意味があると考えている。それが自国優先主義にならないことを注意深く見守ることが必要であることは自覚している。