最近の世界の情勢は分断の連続だという人がいる。アメリカの政治的な不安定さが象徴的だが、民族やイデオロギーの対立によって人の心が分かれていく傾向は世界の各地でみられる。己の属する集団を守ろうとするのは生物としての宿命ではあるが、人類にはそれを超える叡智を得ることができる可能性が与えられている。
コロナウイルスが世界中を満遍なく襲っていることは、強烈なアイロニーのようにも感じる。いくら分裂しても人類はそれほど変わらない。種としては同じであり、運命共同体なのであると。共通の敵を仕立てて融和を図るというのは古来からの権力者が使う常套手段だ。歴史の中にはこの方法で大きく変わった局面がいくつかある。今回の場合はウイルスが相手なのだから、共闘することは一向に遠慮はいらない。
それなのに世界の分断は一向に収束には向かわない。小異をすてて大同につくという古人の教えを実行に移せないのはなぜなのだろう。自分も含めて、私たちは考えていてもできないことが多い。実行することは別次元なのだろう。どうすれば実現できるのか。面倒だがまずこれを考えるという方法から始めなくてはならない。段階が必要なのだろう。