地べたを

 私たちの感覚は近くにあるもので構成される。もちろん目に見えているものだけではなく、距離の離れた場所の情報も手に入れることはできないわけではない。それにしても限られた空間の中で行動が規定されることは確かだ。

 時間の方はもっと限られる。過去の記録は歴史となって残されるものの、実感としての時間はまたたく間に消えてしまう。昨日のことすら思い出せないことがあるのだから仕方がない。未来のこととなると完全に分からない。これはもっと切実で、数年後のことが分からないだけではなく、1秒後のことすらも分からないのだ。

 地べたを這う虫は俯瞰ができない。私はそれと同じ生き方をしている。したたかに生きぬくことがいまできることのすべてなのかもしれない。

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