国王の肖像

 上野の森美術館で開催中の美術展を観てきた。英国の歴代の国王の肖像画や写真を集めたものであった。権力者の画像は普通の絵画とは違うと実感した。

 英国に限らず権力者が必ずしも聖人とは限らない。むしろ庶民より拘束度が低いために醜態も残りやすい。そして公式記録としてつまり歴史として刻まれることになる。

 写真がなかった時代には国王の肖像画は様々な目的を持っていた。写実的であればいい訳ではなく、むしろ弱点を隠蔽し、ときにそれを補強する必要があった。時代の価値観に合わない部分は描かず、理想的な人物にしなければならなかったのだろう。それを自覚した君主は日常生活と公務の顔を変えていたかもしれない。肖像画のみならず、本人の生活それ自体が二重化、多重化していたのだろう。

 エリザベス1世の背景に暗く描かれるスペイン無敵艦隊の背景を観たとき、明るく笑うダイアナ妃の写真を観たときも画像というものの役割を感じざるを得なかった。

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