一度見た風景

 既視感というものがある。この経験はかつてしたことがあるというものだ。大抵は思い違いか類似した状況との混同ではないかと考えられる。しかし、程度のさこそあれ、私はこの錯覚で随分助けられている。

 新鮮な体験というものは言葉としてはそれはそれで魅力的な響きがある。ただし、実際にそれに直面するのは相当の覚悟と忍耐力がいる。どう対処していいのか分からないのは不安だからだ。

 そんなとき、これは過去に経験したことがあると考えること、もしくは思い込んでしまうことは、大きな安心に繋がる。傾向と対策は把握できていると判断することができるのだ。

 実際はどんなことも一度限りで同じことは二度と起きはしない。それを繰り返しと考えることは、生きるための知恵に属するものだ。過度な緊張から逃れ、つかの間の余裕を演出することで次のステップが得られるのだ。

 だから既視感を軽視することは止そうと思う。活用すべき幻想なのだから。

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