日本人は無宗教だという錯覚を見事に打ち消す習慣が初詣です。ただ、多神教の民族は一つの神だけに祈りをささげることはなく、すべての神が信仰の対象になります。私もすでに二柱の神に祈りをささげています。
さて、初詣をすることには副次的な意味があります。それは地域の連帯を確認することです。遠方の名刹を訪れることもありますが、初詣の基本は産土の神への参拝です。そこには地域の住民が集まります。村社会でない限り、同じ地域に住んでいてもほとんどつながりがないのが現状ですが、同じ神社や寺に参拝するということで何らかのつながりを感じることができます。これは教会に通う一部の宗教ほどではないにしても、またかつての檀家のような集団にははるかに及ばないものの一定の意味があります。
同じ地域に住む者同士が共同体の中で生活しているということを初詣を通して感じることができることは昨今の人間関係の希薄化のなかでは有意義です。同様の働きをするものとして他には地域の祭りもありますが、実施できるところとそうでないところがあるのが実態です。参拝は無意味と考えるのは合理的のようで実は大切な効用を見失っているのかもしれません。
