文化

 文化の日が単なる祝日になってしまっているのは文化が何であるのかが分からなくっているのに原因があります。文化という言葉自体に多義性があり、懐の深い概念であるからかもしれません。

 昨日終わったラグビーワールドカップ日本大会ではラグビーというスポーツ種目を通して文化を考えることができました。スポーツとして勝敗を決するためのテクニックやスキル、さらには戦術にもチームごとの文化のようなものがあるようです。そのチームごとに培われてきた伝統のようなものが動きのなかに反映されています。

 国別の対抗と言いながら選手は多国籍であり、同じチームの中でさまざまな背景をもった選手がいます。今年の日本代表にもニュージーランドや南アフリカ、サモア、韓国などに国籍があったり、ルーツをもっている選手がいました。文化は国境を越えて形成されることがある。グローバル文化のようなものの可能性を見ることができました。

 伝統的な地縁による文化と、現在進行中の同じ目的をもつ者が形成する新しい文化のありかたとをどのように扱っていくのかは今後の大きな問題になります。理想的には両者のいいところを取るべきだと思うのですが、そう簡単にはいかない。昨今の政治的な自国自民族優先主義の流れの中で、文化の扱いはますます深刻な問題になると感じるのです。

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