自分のすることが誰かのためになると感じたとき、私たちはなにかしらの幸福感を覚えるようです。逆にいえば自分のために何かをするという考え方は内的な動機づけの要因としては物足りないということなのでしょう。
ならば人をやる気にさせるためにはこの点を踏まえなくてはならないということになります。あなたの努力は将来のあなた自身のために必要なことなのだという助言はもっともな響きを持ちながら、実はあまり有効性は少ない。あなたのしていることが誰かのためになるのだという示唆がやる気へと繋がる可能性が高いということになります。
人のためになるという言葉自体はよく聞くものであり、耳に心地よい響きをもっています。しかし、具体的にどのような役に立っているのかが示されなくては心象を結ぶことができません。恐らくよき助言者はそれを実践しているのでしょう。
実際は他人のためになる行いだと実感できることはそれほど多くはない。年齢が上がるほど自他の行動を相互の利害関係という文脈で捉えてしまいがちです。金銭に換算してしまうこともある。だからこそときに利他的な考えに気づかせてくれるきっかけがいるのでしょう。
この歳になってもさしたる業績もなく、恐らく何も残せない己を恥じ入りますが、せめて他人にやる気を起こさせる存在にはなりたいと考えています。