
サンマは庶民の味とは言えなくなっている。不漁と他国船の密漁、その背景の気候変動と話は大きくなるばかりだ。難しい話はあとにしてサンマがとにかく食べたい。そういう季節である。
目黒の秋刀魚は落語の定番だが、この話は江戸時代においてサンマが庶民の食材であったことを物語る。佐藤春夫も庶民の味に哀感を込めた。決してマグロの上トロや鯛では表現できない。すぐに手に入るサンマであるからこそ哀れみが出る。
私が子どもの頃もサンマは庶民の味だった。何故かイワシは苦手だったがサンマは好物だった。内蔵が好きになったのは酒の味を覚えてからだ。
それがいつの間にか高級魚になりつつある。おそらく数年後には日本の近海でとることが難しくなる。近海魚ではないのだ。おそらく佐藤春夫の感慨は注釈抜きでは理解できなくなる。目黒の秋刀魚の落ちも変えなくてはならないだろう。
それでもサンマを食べる文化が根強いことには変わりはない。うなぎを食べるのと同じような感覚でサンマを食べるようになっていくのだろう。そういえばさんまの蒲焼という缶詰はB級の食材だった。直にカニ缶と同じ扱いになるかも知れない。