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神奈川近代文学館

 神奈川近代文学館を訪ねてみた。夏目漱石の肉筆原稿と絵画などの特集展示が主目的だった。そのほかにもいろいろ収穫があった。

 この文学館は神奈川県ゆかりの作家や、神奈川を舞台とした作品の展示のコーナーがある。東京に隣接し、文明開化の発祥地横浜のある神奈川県にちなむ作品は数多い。展示の種類には事欠かない。展示を観てその多彩さを改めて痛感した。神奈川は間違いなく近代文学の「聖地」である。

 文学の主たる展示物といえばやはり作家の直筆原稿である。ほとんどの作家が原稿用紙に万年筆で原稿を書いているのだが、中には毛筆で水茎の跡麗しいものや、流麗な草書体で書かれている原稿もある。一方でかなりの悪筆もあり、それぞれが個性と見えて面白い。そして何よりも推敲の跡が残っていることが興味深い。どのように作品が生まれたのか、その一端が分かるような気がする。

 現代の作家にも原稿用紙に作品を書く作家はいるが少数派になっている。コンピュータで作品を書く今の作家が文学館に何らかの資料を残すとすればどのようなものなのであろう。決定稿以前の制作過程を私たちが察するきっかけは残されているのだろうか。文学館に訪れるたびにいつも同じことを考えてしまう。

神奈川近代文学館

IR以外の施設を

 横浜市の林文子市長はIR(Integrated Resort)の誘致に積極であるというニュースがありました。この施設にはカジノが含まれ、そこに多くの収益性を見込んでいると考えられます。

 カジノの持つギャンブル性が依存症を一定数の人にもたらすことは世界の先例が示すとおりであり、それによる治安の悪化や地域のイメージの低下も不可避であるといえます。それよりも少子高齢化で税収が減少する一方の市政に益するという判断なのでしょう。私はこの判断には基本的に賛成できません。

 横浜にはカジノがなくても人を呼べる資源がたくさんあります。その活用を考える方を優先すべきです。複数の観光資源を有機的につなげることや、そこに集まる人が楽しめ、お金を払うにふさわしい観光産業を創設することの方にまず注力するべきなのではないでしょうか。

 カジノのないIRならば人は呼べないのでしょうか。また収益は上がらないのでしょうか。その点の懸賞をすべきです。道を誤ると取り返しがつかない方向に進んでしまうような気がしてなりません。