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燕の親鳥は

 夜、駅に行くと燕の親鳥が看板の上に止まって寝ていた。雛が大きくなって巣には同居できなくなったようだ。巣の近くで、それでも雛を守ろうとしているのだろうか。夜遅くまで明るく、うるさい駅構内によくも暮らせるものだと思う。外敵に晒されるよりは遥かに安全なのだろう。

 燕の親子に愛情を感じることができるのは私たちが同じ生き物であるからだろう。進化の過程で身体の形やその一生の有り様は大きく隔たったが、子孫を残すために心身を尽くす生物の本質は変わらない。それをなんとなく察することができるのは人間の能力の一つだ。

 人工知能に同じことをやらせるのは今のところ難しそうだ。事象を超越してその深奥を摑むことは人間の牙城たるものの一つだろう。そういう能力を大切にしなければならないと考えるのである。