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韓国医師のストライキ

 韓国で医師が大規模なストライキをしたことが報道された。理由は政府が医学部の定員を増やしたことだという。韓国は先進国の中では国民一人あたりの医師の数が少なく、日本以上に進行中の高齢社会に備えて医師の絶対数を増やさなくてはならない事情がある。なぜ韓国の医師は仲間が増えることを歓迎しないのだろうか。

 報道によると医学生が増え、医師が増えることで現在医師である人たちの待遇が相対的に落ちることを嫌っているからだという。医師の数が増えれば自分たちの価値が下がり待遇も悪くなるということだ。もし、これが事実ならば、既得権者が自分の利益を守ろうとする利己的な行動ということになる。

 しかし、これは事実なのだろうか。ますます多忙になる医業の実態からすれば、同僚が増えた方が結果的に利益になるはずだ。自分の給料が下がる可能性があるというだけでストライキなどするのだろうか。

 韓国の事情は分からないのでこの推測はここで止めよう。話を日本に切り替える。日本でも医師は高額所得者の印象が強く中には半ば事業家のような人もいることは確かだ。ただ、多くは自らの健康を犠牲にして患者のために邁進する人が多い。もし、韓国と同じように医師の数を増やすと宣言したら、彼らは怒るのだろうか。

 もし反発が起こるならば医者に対する待遇が悪すぎるのだろう。深夜勤務が続く医師が、仲間がもうひとり増えることによって自らの過労死リスクを低減できる。給料が減るのと寿命が縮むのといずれかを選ぶならば、答えは明白なはずだ、

 医師が命よりも収入をとるならば、その医師に私たちは自らの生命を委ねることはできない。医者のあり方は生命の存在意義と直結する。

 韓国の医師が利己的な打算で行動しているとは考えにくい。報道されていない何かの原因があるはずだ。それを知ることは我が国の医療の未来を考える上でも必要だと考える。

見えない現場

 このところ新型コロナウイルス感染者が高水準で増加し続けており、数値的な衝撃に麻痺してしまっている。一方で医療の現場では大変厳しい状況になっているという。様々な報道がなされているのだが、実感として受け取ることができない。

 感染が認定されると様々な配慮がいる。何よりも医療関係者が感染しないことが肝要で、これが崩れるとシステム自体が機能しなくなる。それ故に様々な制限が発生してさらに行動が難しくなる。

 ご迷惑をかけないために何をすべきか。考えていかなくてはならない。