アメリカがガザ地区を管理し、現地住民は移住させるという計画が発表された。トランプ大統領の提案である。紛争地域を丸ごと統治するというが実効性は疑わしい。大量の移住民をどこが受け入れるのだろう。アメリカではないことは明らかだ。
アラブ地域は長い歴史の中で何度も他国の干渉を受け、それがきっかけで複雑な分断を繰り返してきた。古代史の時代から、今に至るまで民族が何度も通り過ぎているともいえる。近代の2つの大戦の時代からは欧州の列強が植民地化のために侵入し、独立の気運が満ちると善後策を考えないまま投げ出した。加えてシオニズムの支援もしてきた。
今回のアメリカの干渉も形を変えた植民地化という味方もできるかもしれない。祖国を追われ移住を強いられた人の心情を無視するならば再び分断を深め、テロリストを生み出す可能性がある。すべてをディールとして使う戦略ゆえにこの先どう展開する中は不明だ。