今年の海外ニュースのなかで最も衝撃的だったのはトランプ大統領の繰り出した関税政策である。国益を守るためという理由で同盟国にも高い完全を課すことを発表し、その後の交渉によってそれを容易に変える。恐喝のような方法を超大国がしてしまうことを恐ろしく感じたものだ。そしてこれはいまだ継続している。
冷戦終結以降、アメリカは世界をリードする国家として強大な権力を持ち続けてきた。世界中の紛争に介入し、世界の警察とも言われた時代もあった。また発展途上国への積極的な援助も行う慈善事業の支援も行っていた。それがどうやら旗色が変わってきた。他国のことを世話している余裕がなくなったようだ。支援は無駄遣いといい、移民を制限し、外国人労働者を敵のように考える。建国以来他の大陸から移民してきた新国民によって発展してきたアメリカが、その活力の源を断とうとしているのは実に皮肉に見える。
もはやアメリカ合衆国は超大国の位置づけからランクダウンしつつあるのだろう。ロシアに変わって台頭してきた中華人民共和国も近年は国内外に大きな問題を抱えているようで、大国然としたふるまいはしていない。世界を支える存在がなくなりつつある中で、どのようにして国際平和を維持していくのかが心配になる。トランプ大統領の存在はその実に分かりやすい警鐘であり、日本もその傘下にあることを改めて考えていかなくてはならない。
