子どもの頃のこの季節の思い出の一つが、転校後の孤独である。父の転勤の辞令が大体7月の初めに出て、その二週間後くらいに引っ越したから、1学期の終業式には間に合わず、引っ越し先の学校は9月に転入したから、その間の夏休み期間は空白の日々となる。
ただ、私の転校先の福岡県の気質なのか、東京からやってきた転校生を近所の子供たちは学校に入る前から仲間に入れてくれた。東京弁しか話せない私に「なんばツヤつけとうね」と直言しながらも、ハンドベースとか缶蹴りとかそういう子供たちの社交界に迎え入れてくれたのである。
いまで言ういじめがなかったとは言えない。むしろ異物排除のエネルギーを感じることが多々あった。私の場合は運よくそれを乗り越えられたが、おそらく転校生の中にはここで折れてしまう子どもも多かったはずだ。
2学期が始まる前に近所の小学生の仲間ができ、中には積極的に助けてくれる人もいたし、目の敵として欠点を論うものもいた。子ども社会はそれで素直であり、扱いやすい。何度か転校を重ねるうちに堪えどころが自然に身についてしまった。これはいまの自分の人格形成にも影響している。
人とは違う経験をすることもいいことがある。子どものときはほどよい危機感を経験した方がいいのかもしれない。この季節になると孤独かつ臆病で、なおかつ新しい友人との出会いのときめきを思い出すのである。
