横を向く大阪の駅のベンチ

 旅行で大阪に訪れたときに気づいたことがある。駅のホームにあるベンチがホームに対して90度の向きを向いていることだ。長距離電車のボックス席のようにいくつかの組み合わせで向かい合っているものもあった。東京近郊の駅のほとんどのホームのベンチは列車の到着位置に対して正対しており、かなりの違和感を感じた。

 調べてみると、これは酔客の転落対策だという。酩酊しホームから落下する人の行動を調査すると、ベンチから立ち上がりそのまま前進してしまうことが多いというのだ。意識が朦朧となっているときは前進することしか考えられないということなのか。あらかじめホームと直角に座っていればその可能性は低減することになる。よく考えられている。

 首都圏の主要な駅ではホームドアを設置して転落を防ぐ対策としている。ただ、設置と維持にかかるコストがかかるらしく、また車両の型によって乗車位置が変わる路線では導入が難しいという。さらに理由は未調査だが、せっかくホームドアを作っても終日開放している駅もある。運用にはさまざまな問題点があるのだろう。

 ベンチの向きを変えることで事故対策にしようというアイディアは素晴らしい。このようなちょっとした工夫で現今の問題を解決もしくは軽減する方法はいろいろあるのだろう。これからの高齢化社会にふさわしい街づくりもこうした柔軟な発想から始めるべきだと痛感した。

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