我が国が国際社会の立場や経済的地位に関して停滞し、衰退の途をたどりつつあることは多くの人たちに実感されている。働いても増えない報酬、着実に進行する物価上昇の流れをどうすることもできない。その中で密かに差別が生まれ、多方面に拡散しつつある。
人種差別のような露骨なものではなく、ほぼ等質の者同士がある基準で優劣を設定する。俯瞰的に見ればほぼ等しいのに、あたかも天と地の隔たりがあるかのような演出がおこなわれる。自分および自分の属する集団こそが正義であり、あとは邪道だと言わんばかりだ。
出身大学や所属する会社名にランクつけて階層化することは昔からあるが今はそれを露骨に言って躊躇いがない。どのような哲学を持ち、いかなる意識を持っているかより、所属する集団によって優劣をつけようとする。潜在的でたちの悪い差別意識が隠れている。
努力してもなかなか報われない社会を生きていると、向上心を持つ価値が危ういものとなる。既得権に縋り、自分の持つ物差し以外で考えることが難しくなるようだ。有名大学の出身であるか否かは一つの基準に過ぎず、今何を目指しているのかの方がはるかに大切なはずなのに。
様々な方面で芽生える差別の意識を危惧しているのは私だけではないはずだ。ネットで他人を冷笑して自己満足している人たちが増えて行くのが不気味であり、衰退する集団の凶兆のように思えてならない。