ショート動画の落とし穴

 TikTokに代表される短い動画は耽溺性がある。ダンスや豆知識などの種類は見ていて楽しいが、中にはニュースや政策に関するものもあり、多彩だ。アメリカ人のかなり多くの人たちがこのショート動画を通してニュースを見ているらしい。トランプ次期大統領を支持した人の多くはこのニューメディアを情報源にしているらしい。

 極めて短い時間で要点のみを強調して結論しか言わない。非常に分かりやすい。ただその反面、結論の根拠や都合の悪い事実が一切省かれている。あたかも作者の言わんとすることが絶対的に正しく、他は排除すべきもののように思えてしまう。冷静に考えればおかしいと思うことさえ、明快さと誇張の陰に隠れて見えなくなってしまうのだ。

 メディアリテラシーが本当に重要な時代になってきた。自分で考えずによくできた話に安易に取り込まれる。その他の選択肢を考慮できない。そういう環境にいまはある。

 悪意のある権力者が世論を支配することも容易だ。ファクトチェックというジャンルを最近よく目にするようになったが、これも世に欺瞞が横溢していることを示すものだ。チェック自体もチェックしなくてはならない。ただ、実際には門外漢には判別できないことが多い。少なくも鵜呑み即決は止め、立ち止まって考えること、そして誤った判断をしたら、訂正しやり直すことに躊躇しないことが求められる。自戒したい。

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