江戸の奇人伝

 江戸時代の随筆を読んでいると人間というものはいつの時代でも愚かで何をするか分からないものだと思う。そしてそういう人たちのことをいちいち記録していくことに価値を見出すというのも面白い。いわゆる「奇人伝」の類は類書が多く、どれもがくだらなくそして面白い。
 人間の生きざまに関心が持てるというのは文化的には大切だと考える。他者に関心がなくなると想像力も創造力も失われる気がする。自分とは違う価値観を持っている人を見逃さないというものの見方が大切なのである。もちろんその多くは噂話で信憑性が低く、中には明らかな嘘も含まれている。文学とは言えないが、その嘘には文学に生まれ変わりそうな気配が感じられるものも多数見つけることができる。
 こういうものを読むときは何らかの目的は持たない。それで何かが得られるということは期待していない。結果的に日本の文化のあり方を知ることができるのかもしれないが、それはあくまで結果的にそうなるということに過ぎない。でも、そういう読み方も必要な気がする。何のためでもないが、興味が惹かれることを少しずつ読んでは味わっていく。それが読書の楽しみであり、ある意味理想である。そんなものを読んで何になるのという問いを堂々とやり過ごしたい。

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