コロナ禍が終わり、海外から日本に訪れる人が増えてきている。上野公園を歩いていると日本人よりも外国人の方が多いのではないかと思われるほどだ。中国語や韓国語、英語だけではなくさまざまな言語で話す人たちの姿が見られる。
円安で物価上昇率が世界水準と比較すると緩やかな日本は海外からの旅行者にとっては魅力的に映るようだ。旅行者に日本に来た目的を訪ねた記事も多く読む機会がある。それによると異文化を実感できることが魅力だという。ほかの国にはない独自性があるのは歴史上日本が他国とは異なる文化の形成をしてきたことによる。
中には日本の食文化に魅力を感じる人もいる。いわゆる和食は海外でも一定の評価があるようだ。しかし、この和食といわれているものをよく調べてみると興味深いことが分かる。ジャパンガイドによると訪日欧米豪外国人に最も人気のある日本での食事は、1位ラーメン、2位肉料理、3位小麦粉料理であるという。日本ではラーメンは中華料理の区分であるし、肉料理に含まれるとんかつやすき焼きなども本来外国の料理を日本式に変更したものだ。3位の小麦粉料理の代表はお好み焼きやたこ焼きなどであろうが、その材料の多くをアメリカなどの小麦生産業者からの輸入で賄っていることは周知の事実である。

いわゆる和食として日本人が考えるのは料亭などで出される会席料理の類であるが、この認知度はさほど高くはなさそうだ。よく考えてみれば和食と呼ばれているものに決まった制限はない。日本文化が歴史上海外の食物を取り入れながら変わっていき、いまも変わり続けているように、和食もまた変化を続けているのであろう。外国人に人気のあるラーメンも中国で作られているものとはかなり違っているらしい。だしの取り方や麺の作り方、ゆで方まで様々な日本化がなされて今の形になっている。そして、一口にラーメンといっても地域や店舗によっていろいろなものがあり、現在でも改良が続けられている。
韓国では日式(日本風)料理といえば、トンカツやおでんなどだそうだ。アメリカ人は唐揚げや餃子、コロッケが人気であるという。いずれも日本人にとっては日本料理の周辺にある料理で和食そのものではない。和食は様々な海外の食文化を摂取し、それを日本風にアレンジして出来上がったものであることを再認識した。こうしたハイブリッドな成り立ちが多くの人に評価を受ける要因なのだろう。
