
イギリスのトラス首相が辞任することになった。短命政権だった。彼女がなぜかくも早く降板するのかを知ることは我が国の参考にもなる。
トラス首相が打ち出した減税策は英国経済を再生させるための方策だった。金を回せば国民は豊かになるというのは、経済の鉄則だ。それを分かりやすく実現しようとしたのだろう。
ところがこの減税の割合が大きすぎた。財源確保がなされないまま減税することは国家の信用を損ねる。そこで英国の株式が暴落し、多大な損害が出ることになった。おそらくかなりの割合の英国株を買っているのは、英国以外の投資家だろう。信用がなくなれば売りに出され、価値は下がる。首相はこの点を軽視していた。
もはや自国の経済を支えるのが自国民や自国企業だけではないということを今回の事例は強烈に示してくれた。場合によっては他国の意向で国の状況が左右されてしまうのだ。欧州連合を離脱するあたりからこの感覚が欠如していたのではないか。
日本もそのことは変わらない。国民向けに甘言を放っても、実現不可能とみなされれば、国際市場から外方を向かれ、ついにはマイナスの打撃を受ける。野党にも与党にも、巧言令色を吐く方は多い。そのうちどれが将来を見越したものなのかを考えておく必要がある。
