
私の世代では6月6日に雨が降るのは納得がいく。雨の特異日という訳ではないだろう。もっと単純な理由である。
棒が一本あったとさ、から始まる絵描き歌は今でも歌われているのだろうか。かわいいコックさんの両手の部分を描くときのくだりが、6月6日に雨ザーザー降ってきて、であった。コックさんの左手は6ではなく反転しているのだが、そういうものだと飲み込んだ。
この歌を絵描き歌として実際に歌ってから数十年の歳月が過ぎた。にもかかわらず私は始めから終わりまで歌うことができ、コックさんを何人でも描ける。まさに長期記憶の最たるものだ。学生時代研究した万葉集の歌で暗唱できるものは少ない。球体の体積を算出する公式はものすごく単純で短いのに覚えられない。
そう考えるとコックさんは偉大だ。記憶というものを考えるときにこのことは覚えていた方がよさそうだ。覚えられればだが。
