まったく同じものを見ていても感じ取るものが違う人がいるということはよくある経験です。自分の感性がすべてだとは決していえないのです。
たとえばあるものを手にするときに、右手で扱うか左手にするかでその後の成り行きは変わります。その人の利き腕が違えばまた異なる結果になる。身長の差だけでも世界は別の姿になるし、それをどう捉えるかも人それぞれです。同じものを見ていると言えるのかどうかもあやしくなる。
だから、始めから同じものを見ているとは思わない方がいい。また自分が感受したものは他者には説明しなくてはならないときがあることを意識しておかなくてはならないのです。
このことを分かっているつもりでいながら、いざというときにあっさりと忘れてしまう。それが私たちの宿命であり、欠点でもあります。悲観的になりすぎないための本能かもしれませんが。