最近読んだ本によれば人が幸せを感じるのは自分の存在が誰かのためになっていると自認できることにあるといいます。人から認められるのではなく、自分でそう思えることが大切だというのです。
自分のやることが誰かのためになるという実感がなかなか持ちにくくなっているのが現代社会です。自分のために何かをやるという考えは蔓延していて、誰かのためにする行動も、結局自分に還元される何かとして認識されて初めて意味を持つように考えられています。自己承認という欲望がその奥にあり、認めてもらうために何かをするということになります。
競争社会にあって他人に先んじることを教育されてきた私たちにとって、無償の行動で人のために働くということは根本的な考え方の変革が必要になることです。災害被災地への救援活動のような場合ではそれが素直に実行されやすくなる。ただ、そのために自分の行動を他に誇り、何かに利用しようとした段階で変質が起こってしまいます。
人のために行動し、人が喜ぶことを自らの喜びとするという体験を私たちはもっと積まなくてはならない。それがこの閉塞感漂う社会を変えていく原動力になるはずです。