先の参院選でNHK解体を公約とした政党の議員が選ばれてしまいました。さらに、不適切な言動で所属の党から除籍された議員がそこに合流するという事態が発生し、日本の民主主義の劣化を印象付ける事態になっています。
NHKに敵意を向ける理由は、受信料の一律徴収に問題があるということでした。また、過去にはNHKの歴史的報道が左翼的であることを問題点として挙げたこともあります。後半の見解については後付けらしく論理的な一貫性に欠けています。恐らくは票集めの手段であったのでしょう。
この不思議な候補者に投票した人たちはおそらく現在の政治に対して無関心なのか、虚無的な気持ちになっている人に違いありません。また、情報が一見無料で手に入るかのように錯覚してしまうインターネット時代の錯覚がもたらしたものとも言えます。NHKがなぜ受信料を徴収するのかを考えることができない人たちでしょう。
東日本大震災発生直後にまともに事実を報道できたのはNHKしかありませんでした。民放の多くは非常時の対応ができず、ローカルネットとの連携もお粗末でした。非常事態の発生時に報道が果たす役割は大変重要であり、震災の国難に国民が冷静に対処できた原因の一つに安定した公共放送の存在があったことは自明です。この一点をもっても公共放送の存在は大切であり、我が国の強みの一つです。それを壊せという意味が理解できません。
言論は自由であり、理解を超えた意見があるのは当然のことです。ただ、それが国政選挙で議員を獲得するとなると事態は深刻です。大局を見られず、身近な不満だけで行動してしまう人が一定するおり、今後も増えるのではないかと懸念されるのです。