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見ていても見えていないもの

 よく読む文庫本のページを凝視すると驚くべき発見があった。ツルツルとした白紙の上に活字が印刷されていると思っていたのに、どうもそれは思い込みだったらしいことが分かったのである。

 紙面をよく見ると細かな模様があり、製紙の段階で紙という形となる以前の形態が想像できたのである。紙は始めから平面で筆を滑らすに適した表面をしていた訳ではない。様々な工程の上で紙となり、何事もなかったよう装っている。しかし、紙の表面の実態を知ってしまうとその物語に気がつくのだ、

 現代人には当たり前だと考えている紙や、電気を動力源としたスクリーンなどは、皆いわゆるメディアであり、実物の存在感を持つことが少ない。でも、あるときその質感を強烈に感じてしまうことがある。紛れもない実体がそこにはある。見ていても見えていないものはたくさんあるし、見えだすと気になることもしばしばあることだ。