タグ: 明日、

契約学科

 韓国や台湾で既に行われている契約学科を日本でも設置する動きがあると報じられた。これは企業が大学教育に大きく関与することを意味する。自社にとって有益な人材を大学時点で育成し、企業の即戦力としようとするものである。主に理系の分野ではこの件に関して積極的であり、学生にとっては就職しやすくなるという旨みもある。

 人口知能など最新の技術が企業側にある最先端分野では、企業の関与が有益であることは容易に理解できる。少しの差で世界におけるリーダーシップが確保できるのならば、国際社会的にみて不可欠なことのように思われる。

 ただ、気になるのは大学が企業の論理に丸ごと飲み込まれた後の世界だ。本来、大学は利益とは無関係に知的好奇心に従って謎を解明していくための機関であったはずだ。金儲けとか序列とかそういうものとは一線を画した研究ができた場所であるという前提が破られていいのだろうか。

 そんなことを言っているから日本の技術は世界に遅れていくのだ、そんな批判を浴びる可能性を覚悟しつつ、それでもやはり大学の独立をどこかで守らなくてはならないと考える。