空想する力はとても大切だと思う。できるはずがないとあきらめてしまえばそれ以上のことは起きない。あらゆる困難な条件をもし克服できたとしたならばと考えることが大事なのだ。こうした発想法は日本では漫画やアニメの世界ではすでに成功例を積み上げている。ありえないことを創作の域、芸術の域まで高めている。
でも、それがほかの領域に及ぶのかといえばそうでもないようだ。実用的な分野においては最近の日本の力は衰退気味にあるように思える。資金力がないとか、開発に対する意欲の低下があるという。この評価が本当に的を射たものなのかは分からない。多くの人がそのように考え、その人数の割合が少しずつ増えているようなのが問題だ。
ありえないことをまじめに考え、あきらめずに実現をしていくこと。それが私たちの先輩のしてきたことだった。何とか豊かになりたい、家族を幸せにしたいと思う気持ちが不足していた技能を帳消しにし、それ以上の成果をもたらす。これは我が国の隠れた歴史の跡である。歴史上の勝者が織りなしていく表舞台と、その背景にあり、実は人間の生活感覚から多少逸脱しても実現することだけを信じて空想を続けること、それが今後の時代を拓くのだろう。