
何を美味いかまずいかという尺度はどのようにできあがるのだろうか。普遍的な感覚に思えるが実はまったく特殊なものだ。
外国人が顔を背けると言われる納豆などの伝統食は確かに日本人でも嫌いな人もいる。そもそも醤油味が苦手だという人には日本は住みにくい国だ。逆に海外の料理の中には味覚的に受けつけないものがある。
人種による感覚器の違いだという話はあまり聞かない。やはり、食文化が総体的に味覚に影響を与えるのだろう。
味覚だけではなくすべての感覚にこうした文化的なフィルターがかけられていることは時々思い出さなくてはなるまい。同じものを見ても触っても食べても、別の感覚で捉えられていることを前提にコミュニケーションすることが必要だ。国際問題ではそれが顕著だが、隣人もまた同じ態度で臨むべきなのかもしれない。