麻生太郎氏の失言は日常的な出来事なので受け取る方もかなり麻痺しているが、今回の発言は選挙前ということもありかなりの影響をもたらすかもしれない。失言というより、事実誤認、さらには政治姿勢の根本に触れる問題発言だった。
北海道のコメがうまくなったのは、農家の努力ではなく温暖化の影響という意味の発言をこともあろうに北海道の応援演説でおこなったという。応援された候補者には気の毒と言うしかない。温暖化とコメの生育の関係に科学的な証明ができていないこと、品種改良による努力を軽視するものであることなどそれだけで問題がある。それよりも国際的な動きとして持続可能性が喧伝され、その一つとして気候変動の減少と考えられている温暖化をあたかも天恵のごとく捉えること自体が政治家としての資質を問われるのだ。
麻生氏は人間的な魅力のある人だと言われ、政治家でなければ好人物かもしれない。しかし、無知無配慮のリーダーのもとで生きる国民は不幸だ。これまでの失言歴だけでも普通の政治家であれば失職しているはずだが、経験と人脈が何とか支えてきた。ただし、自民党にとってそして国民にとってこの方はそろそろ政治以外の方面で活躍していただく方がいい。