先日、茨城県の路線バスに乗る機会がありました。駅前からの乗客は私を含めて2名だけでした。私の降車する一つ手前の停留所で一人乗りこみましたが、私とともに駅から同乗した一人も降りましたので、客は一人だけになってしまいました。こんな光景はどこにでもあるのでしょう。でもいかにももったいない。いわゆるロケーションシステムを普及させればもっと利用者は増えるのではないでしょうか。
地域社会にとってバスは欠かせない交通手段なのですが、いかんせん本数が少なくいつ来るのかもわからない不安感があります。私の乗ったバスも一時間に1本の割合で朝と夕方を走るだけであとはなし。乗りたいときに乗れないのです。公共交通機関がおぼつかない地域では自家用車の利用者が多いのですが、その理由の一つがバスは当てにならないということにあります。ただ、今後急速に進む高齢化社会の中で自家用車を使えない世帯も増えてくることは確かです。やはり公共交通機関は地方社会の不可欠な生活の軸であることには変わりありません。
バスをもっと利用しやすくするためにも今バスがどこを走っているのかが分かりやすく示される必要があります。すでにいくつかのバス会社がバスロケーションシステムを導入していますが、利用者の多い都市部での提供が大半であり、地方路線ではほとんど活用されていません。私はむしろ他に交通機関がない地域こそこのシステムを導入し、積極的に利用者を増やしていくべきだと考えます。こうした地域には高齢者が多く住んでいますが、彼らにも使いやすいシステムを考えるべきです。スマートフォンで情報提供すればいいというのは高齢者を考慮に入れていません。もっと分かりやすいインターフェースを考える必要があります。
自宅のテレビにバスの位置を映し出すシステムは容易に実現できそうです。地域のCATVなどでは実現可能でしょう。そのほかにも何か方法があるかもしれません。また町の掲示板にバスの位置を簡易に示す情報を作ることも検討する価値があります。こういうのはいくらでも方法があるはずです。コスト面の問題もありますが、広告収入などの活用で運用する方法も考えるべきです。
そしてやがてはバス利用の予約をすれば路線の中で発車時間を融通してくれるシステムも可能かもしれません。その際にAIが活用されるかもしれませんし方法は何でもいい。地域の動脈を生きたものにすれば首都圏などへの一極集中を避けることができるし地方経済の発展にもつながります。その一歩としてほとんど来ないしどこにいるの変わらないバスを、使える交通機関に変えていくことを提案します。